この事件についてはいろいろな論調の記事がありますが、まず大切なのは、テロリストとイスラム教徒を同一視しないことでしょう。その点に関して、パリ在住のアシフ・アリフさんが書いた記事「我々イスラム教徒は「シャルリー・エブド」を支持する」はとても示唆に富んだ内容となっています。
この記事によると、ムハンマドは、「一人の殺人は全人類を殺すに相当する」と説いていて、コーランには「宗教に暴力はない」と記されているそうです。そして、以下のように述べています。
ジャーナリストを冷徹に虐殺することで、彼らは全人類を傷付け、深い傷を残し、そして激怒させた。イスラム教徒として、私は風刺を容認しないし、彼らのユーモアが面白いとは思わないが、「一人の殺人は全人類を殺すに相当する」というイスラム教の教えから、「シャルリー・エブド」を支持する。ご遺族のもとに、祈りが届きますように。
イスラム教は今、あまりにも誤解されていると思います。こういう記事からその誤解が少しでも解けることを願います。そして、テロリストに対してです。彼らの行動が許されないものであることは確かです。そこには毅然とした態度が必要です。ですが、同時に、テロリストを生み出す背景について思いを馳せる必要もあるのではないでしょうか?その点に関しては、稲葉剛さんの記事「共生が憎しみ合いに転じるのを許さないために立ち上げる~フランスからの報告」が参考になるかと思います。そこでは、失業や貧困に直面する人々が増加している現状と、彼らが差別によりさらに困難に陥っている現状が報告されています。そして、将来に希望の持てない彼らは宗教に救いを求め、無知なため原理主義者に利用されていくのです。ならば、テロリズムは社会が生み出しているとも言えるのではないでしょうか?
日本に目を移します。13日、NHKクローズアップ現代にて「ヘイトスピーチを問う ~戦後70年 いま何が~」という番組が放映されていました。特定の人種や宗教、性別に対して偏見や差別に基づいて嫌悪(ヘイト)の感情を表現するヘイトスピーチですが、日本では在日朝鮮人や在日韓国人に対して、過剰なヘイトスピーチが目立つようになっています。彼らは事実や根拠のないことで批判していて、意味があまりない乱暴な言葉を使い続けているようです。これらの言葉が暴力や殺人に繋がる可能性があり、ナチスドイツによるホロコーストや関東大震災後の朝鮮人虐殺はその例となっています。(時論公論「ヘイトスピーチ」にどう向き合うかのページも参考になります)
その一方で、韓国でも反日デモが起こっています。
韓国では昨年の12月29日、日韓外務次官級の協議のため韓国外交部に入ろうとした外務省の斉木昭隆外務次官らが乗った車両に、反日的な市民団体約25名がこれを阻止しようと立ちふさがる騒動が起きたようです(JCASTニュース参照)。その他、韓国から出国禁止措置を受けている前産経新聞ソウル支局長の加藤達也さんを巡る反日デモも昨年起きています(livedoorニュース参照)。加藤達也さんは、昨年8月、韓国フェリー転覆事故が起きた当日の朴槿恵(パク・クネ)大統領の行動について、男にあっていたという噂を報道したのです。(「産経新聞・前ソウル支局長在宅起訴を考える」にはその経緯と背景についてバランスよく書かれています。)
日本と韓国で起きているヘイトスピーチ。これもテロリズムと同様、社会が生み出しているのではないでしょうか?失業や貧困に直面し、将来に希望を持てない人の数は日本や韓国でも増加していると思われます。僕たちはなぜこのような社会を生み出しているのでしょうか?
これらのニュースに触れて一人一人が自らの心を振り返ることが大切なのだと思います。
郷子ちゃんの誕生日をみんなで祝っています。 |
大人サミットに参加したファミリーの子どもたちとえいこばーちゃん |
富士浅間木の花祭りは、愛知県奥三河地方の東栄町で700年以上の歴史を持つ国の重要無形民俗文化財「花祭り」に」由来し、その最大の特色は、人と神仏との共演による「生まれ清まり」にあります。花祭りでは、観客は歌ぐらを歌い、掛け声を掛け舞手と共に舞い踊ります。神仏は舞手たちに降臨し、舞手と共に舞うことで、人々の穢れは清め祓われ、新たな生命力を授かるのです。花祭りの奥深くに流れる精神を理解し、引き継いでいくこと。そのために日常生活から自分自身を整えていくのです。
昨年の富士浅間木の花祭りでの鬼の舞 |
そして、1月14日の大人ミーティングでは、中国の雑誌『世界建築』への原稿として陽子ちゃんが書いた文章が読まれました。中国でも、2012年に日本が尖閣諸島を国有化した後に各都市でデモが行われ、参加者が暴徒化し大規模な破壊・略奪行為に発展している様子が報道されました(2012年尖閣諸島抗議デモ)。昨年の11月、2年半ぶりに日中首脳会談が実現し、関係改善に向けて動き出しているとはいえ、まだまだ難しい状況にあります(日テレNEWS参照)。そんな中、昨年の12月には、中国でグリーンビルディングに取り組んでいる25名の人々が木の花ファミリーを訪れ交流の機会を持ちました(この様子はみかちゃんBLOG「中国グリーンビルディング視察団の方々との交流」を参照して下さい)。そして、雑誌『世界建築』への執筆です。木の花ファミリーの暮らしが今、中国に伝わろうとしています。
雑誌『世界建築』の原稿にはこんなことが書かれています。
私たちは宇宙を旅する地球という星の上に生きています。そして、私たちは一つの太陽・一つの大地・一つの水・一つの空気・一つの風のもとに生きています。なによりも私たちは時代を共有して生きています。つまり、私たちは一つのいのちの兄弟であり、天然循環の中で地球という一つのいのちの一部を担っているのです。このように、私たちは人智をはるかに超えた大いなる宇宙の仕組みの元に生かされています。
みんな宇宙という大きな物語の中で生きています。それは本来、みんなで共有している物語です。ですが、「個」という幻想に惑わされている現代人は、自分だけの物語を生きようとします。他人と自分を別々の存在と捉え区別し比較しています。そして、優越感や劣等感、嫉妬や自惚れの感情を育てています。そのような感情は自分自身を苦しめることになります。差別や偏見、ヘイトスピーチはそんな苦しみから人々が目を反らすことで生まれているのではないでしょうか?悪者を生み出し、それを責めることで、自分から目を背ける。そんな心が抑圧される人々を生み出し、それがテロリズムに繋がっていくのではないでしょうか?個人の幸せの追求は、現代社会では当然の権利とされています。ですが、個々人がバラバラの幸せを追求することにより、争いが生じ、結果、みんなが苦しみを味わうことになっているのではないでしょうか?
雑誌『世界建築』の原稿にはこんなことも書かれています。
真の意味で、個人の幸せは家族の幸せ、国家の幸せ、人類の幸せ、そして地球の幸せと一致すべきなのです。
これが達成される時、個々人の幸せの間に矛盾はなくなり、争いもなくなります。そのために必要なことがエゴを手放すことであり、広い世界観を持つことです。僕たちは日々の暮らしの中から心を見つめ、自らの思いを手放し、視野を広げることを心掛けています。それを支えにして、血縁を超えた100名近い人々が助け合いながら共に暮らしているのです。
「自分」という意識がなくなると、他人と比べることで苦しむことがなくなります。生きることが楽になり、大いなる存在への感謝の気持ちが深まります。加えて、宇宙が描き出す物語はとても壮大で、自分が描く物語よりはるかにわくわくするのです。これは6年間、木の花ファミリーで暮らしてきた僕の実感で、今、幸せな毎日を送っています。
今の社会は一人一人の心が創っています。心が変われば世界は変わります。みんながエゴを手放すことの大切さに気づき実践するならば、この世界はすぐにでも幸福に包まれるでしょう。
こんな幸せな世界を一緒に創っていきたいと思ったあなた。
2月15日(日)から3月14日(土)まで開催される木の花塾『1ヶ月間の真学校』に是非、ご参加下さい。前人未踏の”ありえへん”プログラムになっています。
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